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「戦争と図書館」図書館九条の会世話人 大澤正雄
◇抵抗の図書館人 (2005年11月1日)
検閲に抗して 図書館に、特高や憲兵が出入して、「問題の図書」を没収しまた閲覧票を調査して利用者の思想調査を行ったことは、いくつかの「館史」に記録されているところである。問題なのは、前述したように、そのことを多くの図書館や図書館員たちが、当然のこととして受けとめ、この処置に疑いをさしはさまなかったことである。たとえ少数の館員たちが疑いをもったとしても、当時憲兵や特高の権力は絶大であり、これに反抗することは、およそ不可能に近かった。従って、竹内善作氏の主宰した私立大橋図書館が、最後まで、これらの圧力を回避しつつ、巧妙に、憲兵や特高から、発禁図書や指名図書を提出しなかったことは、稀有のことであった。また堺市立図書館長田島清氏が、憲兵による『日本地理風俗大系』の提出を拒否したことも、驚くべき勇気であった。氏は述べている。 そのころ、津田左右吉の『古事記日本書紀の新研究』が不敬罪で有罪と定ったというニュースが入り、私に大きな衝撃をあたえた。市立図書館にもさっそく警官がやってきて、津田氏の著書を押収して帰った。それのみではない。金岡に駐屯していた憲兵隊の上等兵か伍長かがやってきて、『日本地理風俗大系』を閲覧し、こういう地理文献は防諜上害があるから押収すると言うではないか。私はただちに憲兵の申出を拒否して、図書館の文献を防諜上公開してはならぬなどといった間題は一憲兵の云々すべきことにあらず、必要とあらば陸軍大臣と文部大臣の間で交渉の上決すべきものである。当方としては文部大臣の指令がないかぎり貴官の命に服することはできぬと主張した。憲兵は不満そうな顔をしたが、強いてどうしようとも言わずに立ち去った。 以前の記事はこちら ◇戦時中の児童図書館 (2005年9月4日) ◇私立図書館に対する統制 (2005年8月1日) ◇図書館令改正のねらい (2005年7月1日) ◇昭和八(一九三三)年(2005年6月1日) ◇図書館記念日(2005年4月30日) ◇滝川事件と京都古書籍組合の抗議(2005年4月1日) ◇書庫から発見された新聞切抜帖(2005年2月26日) ◇迫りくる戦争と図書館 (2005年2月3日) ◇「戦争と図書館」の成り立ち (2005年1月15日) |
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