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「戦争と図書館」

図書館九条の会世話人 大澤正雄

書庫から発見された新聞切抜帖(2005年2月26日更新)

切抜帖の発見
 私が京橋図書館に転任してきたのは、戦後も十五年ほど経過した昭和三十四年の十二月であった。
そのころ、この建物はすでに老朽化し、例の一階の閉架室はうす暗い倉庫として、戦前の古書類がホコリをかぶって堆積していた。女性の職員などは、この都屋へ入ると虫がでるといって嫌がった。
人手もなく、修理費もなく、電灯代も節約しなければならなかった当時の区財政下においては、図書館に予算を計上するのは無理であったのかもしれない。
それにしても、壁はおち、天井は煤け、焼け残った建物とはいえ、戦争の爪あとが歴然としていた。
 ある冬の一日、私は冷えきった例の倉庫となった開架室にもぐりこんで、戦前の図書を点検していた折、鋼鉄製書架の下段の隅に、ホコリをかぶった数冊の新聞の切抜帖を発見した。
何気なくホコリを払い頁をめくってみると、そのほとんどが、昭和六年から九年ころに至る新聞の書評の切抜であった。
しかし、そのなかに、図書館関係、出版関係の切抜が若干まじっていた。
とくに私の目を惹いたのは、昭和八(一九三三)年の「図書館令」改正前後の新聞記事であった。
(清水正三編著『戦争と図書館』P.20)

<日中戦争はじまる」そして33年(昭和8年)とは>
 日本が中国侵略戦争を開始した一九三〇年代、学間への抑圧は一段と激しくなりました。
一九三三年、刑法学者の滝川幸辰京都大学教授は「国体」に反する「赤化思想」の持ち主と攻撃されました。
 間題とされたのは
1.犯罪発生は社会が悪いから
2.政治犯は人間扱いされなければならない
3.姦通(かんつう)罪は男女平等にするか廃止すべきだ
4.親殺しを特に重罪にするのは封建的家族制度の残りかすだ
─など、今日では常識となっている主張ばかりでした。
この攻撃にたいして京大の学生や教員らは低抗。
日本共産党も「ヒトラー・テロルにまさるともおとらぬ文化反動」と批判しました。
しかし滝川教授は休職処分に追い込まれました。
大学に処分を命じたのは鳩山一郎文相。
戦後、初代自民党総裁として「憲法改正」を唱えた人物です。
ちなみに、日本と同じく、ファシズム・軍国主義が猛威をふるったドイッやイタリアの憲法にも「学間の自由」が明記されています。
そして憲法は、第二六条で「すべて国民は…その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定めました。
(『しんぶん赤旗』2005.1.13,P.3から)

以前の記事はこちら
迫りくる戦争と図書館 (2005年2月3日更新)

戦争の波が押し寄せる東京市の図書館 (2005年1月16日更新)

「戦争と図書館」の成り立ち (2005年1月15日更新)


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