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「戦争と図書館」

図書館九条の会世話人 大澤正雄

滝川事件と京都古書籍組合の抗議(2005年4月1日)

滝川事件は、京都大学法学部の滝川幸辰教授が、その刑法学説が「国体」に反するという理由で免官されたのに対し、法学部教授会及び学生が大学の自治を守るために闘った事件である。ナチの焚書や滝川事件に対して、当時の知識人へ徳田秋声、三木清、長谷川如是閑、谷川徹三、広津和郎、菊池寛、大仏次郎氏などは「学芸自由同盟」を組織し、また、地元京都の雑誌組合京都古書籍組合、京都出版協会は、「学府に加えたる研究の自由の抑圧は、業界の発展を阻害するものである」と、鳩山文部大臣に抗議書を送り、つぎのような抗議声明文を発表した。


決議文

 今回文部当局が京都帝国大学法学部に対して為したる強権の発動は文化の向上と文運の興隆を著しく阻害するものと認む。
 我我書籍業者はその取り扱う商品の特殊性の故に、かかる学府に加えられたる研究の自由の抑圧は、等しく我が業界の発展を阻害するものと信じ、衷心より文部大臣閣下の反省を促すものである。
右決議す

昭和八年五月二十四日
京都書籍雑誌商組合
京都出版協会
京都古書籍組合有志

京都の書籍業の人たちが、これだけ激しい気迫をもって出版の自由を守ろうとしたのに対し、図書館界は、これらの動きに対してなんらの反応も示さなかった。
そればかりか、この年から「図書館記念日」を実施し、図書館を天皇制に結びつけていった。
美濃部達吉博士の「天皇機関説」が貴族院で、菊池武夫らによって攻撃され、問題化されたのは、二年後の昭和十年二月であり、日本の図書館界は、このあたりから急激に変貌していった。
(『戦争と図書館』P.46-47)

*編集者注:上記の鳩山一郎文部大臣は現衆議院議員鳩山由紀夫、邦夫兄弟の祖父。

 

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